時間もお金もかけられない。中小零細企業の方向け。Google AnalyticsをUAから GA4に移管するときのポイントと覚悟

GA4に移管しなきゃならんのです。時間もお金もかけられないからこそ「学習コスト」を余裕もって払う準備を

https://support.google.com/analytics/answer/11583528?hl=ja

3月半ばに、上記のように既存のGoogle analytics(以下、UA)2023年7月1日をもって終了することが発表されました。
つまり今までのGoogle Analyticsは使えなくなるということです。
上記の記事にも書いてありますが、2023年7月1日で計測が止まってしまいます。
過去のデータは少なくとも6ヶ月はアクセスできるそうですが、新規の集計はできなくなります。
いずれそうなるだろうとは思っていましたが、このGoogleの突然の告知にどうしていいかわからない方も多いのではないでしょうか。

実際、大手企業様では移行プロジェクトがスタートしているようです。
しかし、この移行に対してお金や時間がある企業ばかりではないはず。
中には、企業の中にweb担当者は自分だけ。
という企業もまだまだ多いのではないでしょうか。
今回は、そんな方へのGA4移管のすすめです。

とりあえず、今回お伝えしたいのは、
悩まず、1日も早くGA4を動かしましょう。
ということです。

可能なら、Google タグマネージャーを。

自社で広告等配信したことない or 配信しているけど少額。
といった企業様に多いのですが、タグマネージャーが未設置の場合。すぐにタグマネージャーの導入を行いましょう。
逆にタグマネージャーが入っていればGA4の設置、設定はだいぶ楽です。
設置してないよ。という場合は、ここから考えられると後々楽です。
タグマネージャーを設置できれば、GA4とUAの併用が簡単に実現します。
とにかくタグマネージャーに慣れましょう。
後々の分析カスタマイズはやりやすくなるはずです。
いや、カスタマイズなんてほとんどしていないよ。というのであれば・・・。
もっと簡単に移行できます。

GA4の移行だけでも理解を得るのが大変なのに、タグマネージャーも?
と不安になった方も大丈夫です。
タグマネージャーがなくてもなんとかなります。

タグマネージャーがめんどくさい、必要ない・・・。でもイケる。

一応、現状UAが動いているなら、GA4はタグの追加設置などなくても可能です。
既存のGoogle Analyticsの画面から、GA4を追加設定すれば動いてくれます。

ここから指示に従って追加すれば、すぐです。
とりあえず、GA4のアクセス情報の収集はスタートします。
実際コンバージョン設定やカートやフォームが別ドメインという場合は
設定を改めて確認する必要がありますが・・・。とはいえ、まずは進みましょう。
今回の移管の救いは、「GA4はUAと併用可能」な点です。
なので、まずは導入することを迷わない。
早く始めることが重要です。UAとGA4併用できる今のうちに。
それもなるべく早めに導入することが学習コストを無理なく払えるポイントだと思います。

ページビュー・セッションは忘れる。これからは「イベント」

これまでのGoogle analyticsはページ、セッションという概念が主たるものでした。
しかし、今後は、「イベント」という概念に変わります。
例えば、ページビューも「イベント」。リンククリックも「イベント」です。
「ページビューどれくらいあるかな?」なんて数値はこれまでほど簡単に見れなくなります。
この変化についていくには、大きな意識改革が必要だったりしますが、どっちみち来年の夏には新しい数値は取れなくなります。早めに移行しておくべきでしょう。
Google ポータルや、Google APIを活用すればいろんな数値が見れます。もちろんその学習コストはかかりますが、今から準備すればその時間もあります。早めが吉です。
この部分を理解することに時間をかけましょう。

GDPR?CCPA?って何よ

今回のGoogleの「GA4移行」は海外の個人情報保護法にあたる「GDPR(EU)」や「CCPA(カルフォルニア州)」などの海外の個人情報保護への対応というバックボーンがあります。
これらに対応するために登場したのが、今回のGA4です。

しかし、今は忘れましょう。

注:海外にサービス展開、商品展開している企業なら無視したらだめです。
日本国内だけの活動であれば、アタマの片隅に置いておけば一旦は大丈夫でしょう。
とはいえ、国内の個人情報保護法は忘れてはなりません。
Google Analytics のデータを個人情報と紐づけて運用したりしているよ。
という方がいらっしゃったら、早めに然るべきところへご相談ください。
2022年4月から国内の改正個人情報保護法が施行され、企業の責任、罰則が重くなっています。
法律については、web屋では対応できないことも多いです。法律の資格をもたないものが対応すると弁護士法違反になる可能性すらあるので、ちゃんとした相談先を探しましょう。

過去3年間の数字を出して・・・。それはもうできません。

法律の話になってしまいましたが、これら日本ではない海外の法律へ対応した結果、Google Analyticsでは取得できなくなる情報も多いです。
大きな点で行くと「データの保持期間が最長で14ヶ月」しか取得できません。
定期レポートに過去3年間の比較。なんて項目がありませんか?
GA4だけでは、それはいずれできなくなります。Big QueryにAPI経由で保存して~なんて方法論も行き交ってますが、それはあくまで分析に時間とお金をかけられる場合の手法です。
また、Googleが定めた期間以上データを保持するなら、ユーザーにそのことを明示するなどの対応が必要になるかもしれません。
自分でそんな環境を用意できればいいですが・・・。その準備はできていますか?

また、ユーザーの属性情報は「2ヶ月で容赦なく削除」です。
ユーザー属性に関するレポートを出していませんか?
性別、年齢などの統計データが利用できる期間は短いです。
それらの情報が旧になくなった場合、どこまで関係者の方々は理解してくれるでしょうか。

周囲の理解を得ておく

何事もそうですが、「突然明日からです。」といわれて納得できることは少ないです。
特にビジネスにおける数値周りの話は納得出来ないどころか、急に変わると言われてはい、そうですか。と、流してもらえたら、どれだけ楽なことか。
Googleの決定がまさにその突然だよ。
と、思っている方も少なくないのかもしれません。
とはいえ、プラットフォーマーであるGoogleが言い出した以上、もう後戻りはできません。
そして思い出してください。
決定権のある人(偉い人)がwebの数値に慣れるのに一体どれほどの月日を要したか・・・。
はい。そうです。GA4には1日でも早く移行すべきです。
そして、周囲の人達を可能な限り混乱させず、以前と同じような報告ができる体制を整えましょう。難しい点があれば、早めにそのことを伝え理解を得る必要があります。
そのためには確実に「学習コスト」がついてきます。
それは当事者だけでなく、周囲の方も含めです。

Googleさんもスルッとサラッと移行日時を通達してきましたが、GA4を見れば見るほどやることが出てきます。

どうしていいかわからない。
そう感じている方はまず、導入しちゃいましょう。道はそこからです。

この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし、踏み出せばその一足が道になり、その一足が道となる。迷わず行けよ 行けばわかるさ

アントニオ猪木さんの名言と言われていますが、実際は真宗大谷派の寺院のご住職であられた清沢哲夫氏の著書『無常断章』の詩だそうです。

GA4の極意は仏教にあり。ということで、まずは「行く」ことを強くオススメします。